火属性

配布お題

211-220

茨の剥製

石を割ったならみな散り散りに生まれおちる光るたてがみ
茨の剥製
叶え終わった願いごとの水温が未だ続いて
鹿の子模様の空は東
スピネルの浜辺で瑕を創る
痛切から与えられた輪郭線
月明かりを洗い流すほど汚れていく洗面台
白日でサンドイッチする夢語り
無闇に似合う真珠蒔き散らして夜
ろうそくの端っこに灯るスイートピー

201-210

永遠の麦畑へのスリップ事故

おはようをそそがれたのなら塵になる
永遠の麦畑へのスリップ事故
乾くほど泳ぎやすい月下
消えては顕れ洗われる舫い
遠つ円環とはマーブルキャンディ
花束であることの十分条件
火の粉に含ませる花蜜
睦言とクロックムッシュとの切り分け
森を透過して狼を探す
黎明が跳んで弾んでいった先

191-200

波に貼られた銀色

鋳溶かされた脇腹
イドに多い浮き玉
鍵への比喩をすべて拭って洗って遺失して
牙の子と雛子
銀の傘、白い傘を携えて降るだけ降って
繰り返しが効きにくいこの頃
食卓が理由で、理由とは異なるテーブルクロス
波に貼られた銀色
光る翼を裏返したら真っ黒い新月
輪郭に成りもせぬ旅程

181-190

出囃子みたいな目玉焼き焼けた

音楽はどこにでもすぐ挟まって
砕かれたい墓標と砕きたい切っ先と
瑞兆の末席
雪像に口紅を塗らなくては
綴じないせいで転がる天体
出囃子みたいな目玉焼き焼けた
等しさとの距離を近づける
まっさらになる繊毛花弁球根花束
火傷と菫とキャラメリゼ
落葉樹たちを縫い取り歩く

171-180

アイスグレーへと到達する海流

アイスグレーへと到達する海流
踵を上げて両腕を上げているのも溢れていく為
キュッとギュッとしてうさぎ
蝶の通過した回路
波の連なりから逸れていった波
平面標本箱
星と私とシューティングゲーム
真水の仕草
無重力の国のスパイス・ラック
蘭の幼生

161-170

親指が夕焼けを拭う

親指が夕焼けを拭う
海洋の骨格
崩折れるケーキキャンドルたち
クッキー缶に溺れっちまう
氷か骨か魔法の歯触り
去り際の頬
残響の内にクジラ尾を探す
白百合を紺に浸した
光と和毛と斑になって
瑠璃玻璃を剥がしたお空

151-160

漲らせた線を、

暗がりで読み上げられる天体運行表
クレパスの青を掬ったお菓子
月面を鎮めるトウシューズ
蠍の名前はピンクサファイア
動態の透明石膏
判例集は満ち欠け
ハレーションの真似事
飛行術、海の
眩いグリッドの仮称の宇宙
漲らせた線を、

141-150

半分くらい満月

朝ごはんと昼ごはんの蝶番
褪せたり灯したり鄙びたり
貝殻のたましい
蝶を食べて永らえる海
翼に倣うなら
塔を育てているらしい雨
半分くらい満月
分離さる野苺と初夏
幕の仕掛けが壊れてしまって
夜明けの手前をコインで削る

131-140

とろとろに光る冠の下

橄欖石の種を吐きだす
銀の箒で夜を掃く
月光が逃げ出してくる回転扉
御者台のブランコ乗り
木漏れ日の底が抜けた
スワローテール・リボン
とろとろに光る冠の下
猫舌と薬瓶
パンオレザンの秘密を聞き齧る
木蓮の靴を揃える

121-130

仔犬はワルツ、シリウスも

ウラングラス紀行
偽史でかがる真円
キャンディーケーンが春空を突つく
仔犬はワルツ、シリウスも
早緑真珠
白うさぎに見つかった
月の皮を剥ぐ
テキスタイル pattern10.チョコレートスプレー
灰舞う宇宙
半ダースの悪意

111-120

鍵の多い宇宙

鍵の多い宇宙
カメオルースの鼻梁に同じ
煙管に連なる蝶々千頭
白から白に着地するまで
ただ一羽の為の旅行鞄
月へと引き揚げていく錨に乗って
吊るされたロケットの、月の、隙間を横切る光が
手探りの花吹雪
不思議に静かなクリームソーダ
水色の終わりに

101-110

華やいでばかりの袖口

貝殻と砂粒に与えられた期間
時祷書に蔓延るストロベリーフィールドを行く
天国を火種にして
凪の果てにて
華やいでばかりの袖口
春の野の舫いにオーガンジー
罅を持たない雛のないこと
目深な星影
マリネよりもゼリー寄せよりも冷たくなれる
幽霊屋敷を建てたいな

091-100

瓦礫には色彩を持てない

石塊の姿態
紙吹雪から青を盗んだ
空っぽを盗掘しに
瓦礫には色彩を持てない
氷と音楽の成長期
鈴蘭の月のアイスグレーへ
声帯を海が削った
ビジューの埋葬地
掘るように掻くように溺れていくから
満帆に孔雀尾

081-090

鱗も花弁も秘密の捲れる

アップルパイの皮相に刻むラグナロク
鱗も花弁も秘密の捲れる
幼気に蓮葉を渡る
季節を溶いて、際を伸ばして
隈なく黒いひまわり畑
サイエンスとフィクションの浅薄を生きる
晴天を潰したくしゃくしゃ
泥濘んだ棄教
春を尖らせる
蛇の乳

071-080

青胡桃の隣へ

青胡桃の隣へ
唇に爪先に内包するリボン
操舵輪を抱えて目を瞑る
背負いきれないマリーゴールド
そのようにしか引けない星座の線を
多面体の戯れ
ドレープ・クレープ・バターシュガー
練り飴と蜘蛛
バニラをこそげた手指を持て余したまま
幻たちの息遣い

061-070

ひたひたのうさぎとフレンチトースト

クリームソーダの横臥
香辛料と魔法陣で作る色相環
錯視の調律
白雪城主
水滴に描き込まれた森
それよりも儚いスフレケーキ
段階としての水鳥
燕の啄む星々
ひたひたのうさぎとフレンチトースト
呼ばれ慣れない砂漠でいたので

051-060

ランプシェードと鳥の境目

趺に羽毛を翼に炎を
硝子としては潰えた生命
国には軽くて星にするには重い名前
幸いを摺り切り一杯
追伸が長くなりそう
どうとでもなれそうなクッキー生地
日記を二種類
ピンクの靴でカラフルを撒きに
フラミンゴと金魚のつるし雛
ランプシェードと鳥の境目

041-050

さくらんぼ柄も実る季節

居待月のディップ
銀河に届くフラフープ
さくらんぼ柄も実る季節
思考実験としてこの白い花
ジンジャーマンクッキーと曖昧な天使
天球儀の剥製
白日に置く白磁
薄荷よりも真っ白で薄荷よりも辛いドロップ
春から風を奪ってしまった
光に沈む

031-040

葡萄、書物、蕾、指で繰るもの

青い根の行き着くところ
おやすみを酌み交わしたら
キッシュと論旨を崩さず運ぶ
杉と星の最高到達点
タッセルとロープで夜空と分かつ
小さなおびただしい蝶たちが壊れた脚を歩かせる
花火の奔流
昼寝を追い出しても白昼夢が居残っていて
葡萄、書物、蕾、指で繰るもの
真夜中が薄くなっているエリア

021-030

銀色の指で示すカフェメニュー

雨傘の発達
銀色の指で示すカフェメニュー
ケーキを床に落としたのだから首根っこで爪を研がせて
香水瓶の渇き
四季もここも静まり返って
月が痩せていくように月が丸くなるように
棘に似て光
ぬいぐるみに懐かれない
星とうさぎと行く航路
真冬を下絵する

011-020

ストロボに瞬きしなかった

角砂糖に日なたが宿る
家政学史と手を取り合って加速していく
幾何学模様を尽く踊る
恒星スイッチ
銀翼ストライプ
クローゼットの永年の迷子
シフォンを引き裂くハイヒール
ストロボに瞬きしなかった
隅っこでエコー
優しい直線

001-010

鳥の卵を描き分けていく

カットワークに来る赤光
シュー生地に挟まれた冬
ドアノッカーかも、しっぽかも。
鳥の卵を描き分けていく
ネグリジェを着たドールスタンドの欠伸
パイ生地で覆ってしまうから平気
船にでも矢にでもなれるけど
水玉を裾から払う
メレンゲと星月夜とクッキー缶
森を模した縁を囓じる

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火を盗む/燐寸を摺る速度

5周年記念
過去ログ

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